あれが、分岐点だったのだ。

別に「今」に不満を持っているわけではない。
むしろ満足していて、「今」に至るまでの過去にも感謝している。
けれどもふと、あのとき、選んだものと違った方を選んでいたら…?と思うシーンが一つだけがある。その時は足るに足らない、小さな選択だったんだけれども、何度も何度もそのシーンを思い出してしまう。

6月の末くらいだったと思う。緑色の半袖トップスにレースのミニスカートにレギンスを身につけ、茶髪のストレートロングヘアーでつけまつげをしていた私は、飲み会の帰りの電車を、駅まで送ってくれたAと改札前の階段でおしゃべりしながら待っていた。目的の電車にのりそびれ、次の電車までは20分位あったのだ。
10分位おしゃべりをしていたら、駅にBが来た。Bは私たちを見て少しからかいつつも、一緒にいたCを私たちに紹介した。居づらくなったのか、Aはそそくさと自転車でその場を去ってしまったので、BとCと改札の中へ入った。Bは逆方向の電車に乗る予定だったので、Cと一緒に電車に乗った。

細かい情景まで覚えていて本当に気味が悪い。この、シーンを何度も何度も思い出してしまう。目的の電車に乗れていたら?と、Bと遭遇せずにCと出会わなければ?と、Aともう少し話が出来ていたら?と、ふと考えてしまう。

その後Cと親密になり、Cが連れていってくれた先で、絵にかいたような廃退的な青春を送る事になる。

もし、この時どこかで何かが違っていたら、絵にかいたようなキャンパスライフと模範的な青春を送っていたのかもしれない。
そしたら、今どうなっていたのだろうか?

風邪を引いて寝込んでいるので、そんな事ばかり考えている。

おわり。